イラン・テヘランで生まれ、大阪とエジプトで育った作者の、どこまでがフィクションでどこまでが実体験なのかわからない小説。
西加奈子が好きだ。
「あおい」「さくら」の頃から読んでいるから多分もう10年くらい追いかけている。
一緒に年齢を重ねながら読んでいるから、作品の成熟度も一緒に体感している所が楽しい。
だから直木賞を取った時は単純に嬉しかった。
でも次の瞬間違和感を感じた。
西加奈子って直木賞って感じじゃないよなぁ、と。
良くも悪くも言葉を崩したり、方言を取り入れた、娯楽っぽい作品が持ち味だと思うから。
とりあえず読んでみよう。と思った。
結果から言うと、私の知る西加奈子至上最高傑作でした。
購入して、何度も何度も読みたい作品。
もし読もうか迷っている人は読んでほしい。
上巻は若干退屈だけど、下巻が圧倒的だから。
ただ、この作品はどこがどう面白いのか知ってしまうと面白さが半減してしまうのでこれから読む方は以下の感想は読まない事をお勧めします。
下巻に入ってからの勢いが凄かった。
今まで当たり前に自分の側にあった幸福(それは容姿だったり、家族や友達、恋人)を無くした時、自分は何を信じたらいいんだろう。
自分の評価を、他人からの目で決めてはいけない。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」
胸が痛かった。下巻の後半は目が腫れるくらい泣いた。
まるで自分の話のように感情移入して、苦しかった。
無くしたの物も、傷ついた事も全ては必然だったと思いたい。
一度では理解できないくらいすごい作品だと思う。
ここ数年で一番好きな本になった。
0 件のコメント:
コメントを投稿